弁護士に相談依頼するメリットの詳しい内容
はじめに
1-1 労災問題で弁護士に相談する意義
労災事件において、会社が労災申請に非協力的な場合があります。
労災事故が発生した場合、会社は遅滞なくそのことを労働基準監督署に報告する義務を負っています。この報告義務を会社が怠ると、刑事罰を科されることが法律に規定されています。
しかしながら、この報告義務を怠る「労災隠し」が後を絶ちません。その理由は、労働基準監督署に対し労災事故を報告した後の事故原因等の調査や労災保険料の増額可能性から逃れようとするのだと思われます。
被災した労働者にとって、労災保険の適用を受けられないと、治療が長引いて治療費等が多額になったり、休業が長引いたり、深刻な後遺障害が残ってしまったりと深刻な不利益が生じます。また、会社に対し損害賠償責任を追及する際に、労災事故発生自体を立証する必要が生じます。
このような不利益を回避するため、弁護士に相談依頼するメリットがあります。
1-2 労災給付だけでなく損害賠償まで視野に入れる重要性
慰謝料などは、労災保険給付の補償対象に含まれません。また、休業補償給付は100%ではなく、障害補償給付も後遺障害が残存した場合の逸失利益を完全にカバーできる金額ではありません。これらの損害は、会社に安全配慮義務違反や不法行為が認められる場合に損害賠償請求をすることができます。損害賠償請求においては、使用者の安全配慮義務違反や不法行為を具体的に特定する必要があることから、専門家である弁護士に相談依頼して進めるメリットがあります。
補償の最大化を実現する弁護士の戦略
2-1 労災給付の適正な受給
特に、後遺障害が残存した場合の後遺障害等級は、後遺傷害慰謝料や逸失利益(労働能力喪失率)に関わってくるため、専門家である弁護士に依頼したほうがよいと考えます。後遺障害等級は、障害の程度に応じて第1級から第14級までに区分されています。後遺障害慰謝料は、第1級の場合は2800万円、第14級の場合は110万円です。労働能力喪失率は、第1級の場合は100%、第14級の場合は5%です。
また、障害の内容については、例えば、上肢であれば、欠損障害、機能障害、変形障害など、詳細な基準に基づいて、区分されています。どの等級に該当するかは、医学的所見によって判断されますが、その医学的所見をもれなく診断書に記載してもらう必要があります。医学的知識を有する弁護士に依頼し、正しい認定を受けるべきといえます。
2-2 使用者側の過失の特定・立証
会社に対し、損害賠償請求する場合、会社の不法行為や安全配慮義務違反を具体的に特定し立証する必要があります。会社の不法行為や安全配慮義務は、業務内容によって異なります。また、特定した不法行為や安全配慮義務違反を立証するのは、請求者側つまり労働者側になります。
2-3 補償をトータルで最大化する視点
後遺障害等級認定を有利に進めるサポート
3-1 医証の収集・整理のポイント
まず、治療を受けた病院に対し、カルテ(診療記録)や画像の開示を求めます。医学的知識を有する当事務所の弁護士が診療経過、診療内容および画像から、後遺障害等級認定に際し、代理人としての書面を作成し、残存している後遺障害にかかる症状をもれなく後遺障害認定用診断書に記載していただくようにします。主治医の先生は、多忙ですし、後遺障害認定用診断書を作成する時期は外来通院中になることから、残存している後遺障害にかかる症状が網羅されていないことが多い印象です。そこで、恐縮ではありますが、代理人の書面で注意喚起させていただいています。
3-2 適正な等級認定を目指すための弁護士の役割
主治医の先生に作成していただいた後遺障害認定用診断書を労働基準監督署に提出する際には、医学書の該当部分のコピーなどの資料を添付したうえで、代理人としての意見書を提出します。
3-3 適正な等級認定へ
昨年公表された令和6年労働災害発生状況によると、休業4日以上の死傷病者数は4年連続で増加しています。このように、労働基準監督署は多数の申請を取り扱うため、申請者としては、可能なかぎり、適正な認定に向け、自らが資料を用意して提出する必要があります。
安全配慮義務違反・不法行為の責任追及
4-1 安全配慮義務とは何か
労働契約法第5条において、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められています。そして、通達において、労働契約法第5条の「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではないが、労働者の職種、労働内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められるとされています。
4-2 不法行為とは
労働安全衛生関係法令においては、事業主の講ずべき具体的な措置が規定されています.労働安全衛生関係法令は、行政法規ですが、同法令に規定された具体的措置については、安全配慮義務の具体的な内容になるとともに、その義務違反は、違法行為としても主張できることになります。
4-3 弁護士が代理することで得られるメリット
このように、適正な後遺障害等級認定を受け、会社に対し、正当な損害賠償請求を行うためには、要所要所で専門的に進めていかなければなりません。経済的利益の最大化は、弁護士が代理することにより得ることができます。
